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           JAPAN ECONOMIC REPORT

               05.02.27

 

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日本経済最前線の視点から、理論ではなかなか学べない日本経済の現状や見通し

を分かりやすく説明する無料マガジンです。(読者数約30000名、通巻592号)

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■■INDEX■■

 ▲編集長の今日このごろ〜PC破損・・

 ▲買収攻防戦〜著しく不公正な発行にあたるかの論点

 

私の3代目PC(iMAC)がついに破損。最近、データのバックアップをとっ

ておこうと思っていたのですが、これも出来ずに、過去3年分のメールやファイ

ル等のデータが失われてしまいました。

 

ここ最近メールでしか連絡がとれなくなってしまった方には、私の方から連絡を

することが出来ません(私の家内のメールデータも同様)。PCを買い換え、漸

くメールを開通させることが出来ました。もし、本レポートを読んでいらっしゃ

れば、メールをいただくことができればと思います。。。(かなり困っています)

 

ところで、あと2ヶ月で4歳となる我が家の双子ちゃん。これまで血液型が分か

らない状態にありました。私がA(AO)型、家内がB(BO)型である為、可

能性が4通り(25%ずつの確率)あったわけですが、この度ついに判明!結果

は、B(BO)型でした(一卵性双生児であるので、当然二人の血液型は同じ)。

だからといって、何が変わるというものではないんですけどね。

 

それでは、寒さももう少し続きそうですが、皆さまにおかれましてはお体を大切

にされて下さい。発行間隔が空いてしまい大変申し訳ありませんでしたが、今後

もどうぞ宜しくお願い致します。                  【編】

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■買収攻防戦〜著しく不公正な発行にあたるかの論点

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ライブドアによるニッポン放送に対する買収策、並びにニッポン放送による防衛

策。イレギュラーな話題ながらも、マスコミにも大きく取り上げられるようにな

りました。

 

もともとこの手の論争は、日本においては判例もあまり多くないことから、従来

よりM&A実務に携わってきている方々を手がけてきているのほうが寧ろ興味津

々というところかもしれません。

 

一般に日本では敵対的な防衛に対する対抗措置としては、第三者割当増資が行わ

れることが多く、これが商法280条の10の「著しく不公正な方法による株式

の発行」に当たるか否かという点が論点となってきました。新株予約権について

も同様で、それが「著しく不公正な方法」による発行の場合、差止請求をなし得

る(商法280条の39第3項、同法280条の10)と規定されています。

 

過去の判例をみる限りでは、敵対的買収株式買取の対抗策として新株発行する場

合でも、会社に資金調達の必要があるなど、新株発行についての「合理的な理由」

があれば、「不公正」にあたらないとする考え方(主要目的基準)が確立してい

ます。但し、逆に言えば、資金調達など合理的な経営目的が新株発行の主要目的

であれば「不公正」ではないが、会社買収に対抗するため買収者の持株比率を低

下させ、現経営者の支配的地位を維持することが主要目的とすれば、「不公正」

となるわけです。

 

そうはいっても、合理的な経営目的があるか否かということの判断を機械的に行

うことは困難であり、どちらかといえば経営者側の判断が尊重されてきました。

 

その一例としては、約11年前のニッポン放送事件(東京地裁平成6年3月28

日)。第三者割当による新株発行について、筆頭株主から申し立てられた発行差

止仮処分申立を「著しく不公正なる方法」による新株発行とは認められないとし

て却下した事例です(ご存知の通り、ニッポン放送は以前も同じようなことを行

っているのです)。裁判所がそのように考えた理由としては、以下の通りです。

 

(1)資金調達の必要性が認められ、取締役の資金調達方法の選択に著しい判断

   の誤りが認められず、また、必要な手続きを履踐している限り、取締役の

   経営判断は尊重されるべきである。

(2)本件新株発行は取締役会の決議により決定され、株主総会の特別決議によ

   り第三者割当の方法によることも承認されているのであるから、商法上必

   要な手続きを履踐しているものである。

(3)取締役の経営判断が尊重されるべきにあたり、新株発行及び第三者割当の

   必要性がないとする債権者(当時のニッポン放送の筆頭株主)の主張は採

   用できない。

(4)本件新株発行によって、債権者の持株比率が13.1%から10.9%に

   低下することは明らかであるが、債権者の現在の持株比率自体、それだけ

   では会社を支配し、株主総会の特別決議を阻止できる議決権数には大幅に

   不足するものであり、また、少数株主権利行使のための持株要件に欠くに

   至るものではないのであるから、債権者の受ける不利益は単なる持株比率

   の低下にとどまる。

 

以上を見て分かるとおり、上記判例と今回ライブドアの件では明らかに状況が異

なっています。先ず、資金調達の必要性という目的は無く、企業価値の維持を目

的としている点。この目的が合理的であるか否かという判断となろうが、なかな

か説明しづらいところです。次に、上記(4)の点。「不利益の程度」を理由の

一つとしています。今回、ニッポン放送が新株予約権を発行し、その権利行使を

された時点で、特別決議事項の決議するうえでの拒否権を失うわけですから、非

常に大きな不利益となることは明白です。

 

従い、従来の判例に沿った考え方をベースとすれば、発行差止仮処分の申請が通

る確率が高いと思われますが、興味深いところです。

 

ちなみに、本件での会見で、ライブドアが株主になると「公共性」が損なわれる

とニッポン放送側が述べていましたが、この商法解釈を巡る重要な論争(本件に

係らず今後の企業買収法務について影響を及ぼす公共性の高い話題)について、

フジテレビ系の番組では殆ど放送していないのは、彼らの主張とちょっと矛盾し

ているような気もします。                     【編】

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